練習は「苦しい」が正解?サブ3達成のカギは「耐える」ことより「余裕の拡大」
フルマラソンは、30km以降の終盤にとてつもない苦しさが待っています。 これを克服したいと願う真面目なランナーほど、普段から**「ゼェハァ」と息が上がるような激しい練習**を行いがちです。
「キツい負荷をかけて心肺機能を追い込まなければ、強くはなれない」 そう思っていませんか?
今日は、私がサブスリーを達成する過程で気づいた、**「苦しさに耐えるのではなく、余裕を広げる」**というトレーニングの極意についてお話しします。
「耐える力」より「余裕度」を上げる
マラソンは、いかに激しい追い込みに根性で耐えるか、という競技ではありません。 **「いかに高いペースでも、余裕を持ったまま走り続けられるか」**を競うスポーツです。
苦しさに耐える練習ばかりしていると、本番でも「苦しくなってからどう粘るか」という発想になりがちです。 しかし本当に必要なのは、「余裕度(キャパシティ)」そのものを広げていくアプローチです。
「今のペースだと限界に近い」というラインを上げるのではなく、「このペースなら笑顔で走れる」という領域を広げていく。 練習の意識を**「苦痛への耐性」から「余裕の拡大」へ**シフトしてみてください。
「腹八分目」が最強のトレーニング
効果的なのは、キツい練習をたまに行うことではなく、「まだまだ余裕がある(腹八分目)」と感じる練習を継続することです。
多くのランナーは、自分の実力よりも一段、二段も高いレベル設定で無理をしがちです。 しかし、これでは怪我のリスクが高まる上に、精神的にも続きません。
負荷を上げるタイミング
重要なのは、負荷を上げるタイミングです。 「頑張ればできる」レベルで行うのではなく、**「楽に感じるようになったら」**初めてレベルを上げます。
- 「余裕」で走れるペースと距離を反復する。
- 力がついてくると、同じメニューがさらに「楽」に感じるようになる。
- そこで初めて、設定タイムや距離を少しだけ上げる。
このサイクルを繰り返すことで、無理なく、しかし確実に走力のベースライン(土台)を押し上げることができます。
レベルを下げる勇気を持つ
「余裕を持たせる」というのは、口で言うほど簡単ではありません。 なぜなら、「こんなに遅いペースで練習になるのか?」という不安と戦わなければならないからです。
ベテランランナーでさえ、練習設定を落とすことには恐怖を感じます。 つい見栄を張って、SNS映えするような速いタイムで走りたくなってしまうものです。
しかし、誰かと競う必要はありません。 「できるかな?」と不安になる設定ではなく、自信を持って「できる!」と言える設定で積み重ねること。 あえてレベルを下げて、余裕を持って完遂する。その継続こそが、結果的にあなたを「苦しみ」から解放し、目標タイムへと導いてくれます。
