【マラソン】「速さ」より「強さ」。私がスピードランナーのライバルに勝てた理由
マラソンを続けていると、「スピード練習か、距離を踏むか」というテーマで悩むことはありませんか? 特に記録が伸び悩んでいる時期は、手っ取り早く速くなれそうなスピード練習に魅力を感じがちです。
今日は、私の30代の頃の実体験から、**「急がば回れ(基礎の大切さ)」**についてお話ししたいと思います。
圧倒的なスピードの差に絶望した30代
30代の頃、私にはどうしても敵わない、圧倒的に速い知人がいました。 大会ではスタートして数十分、わずか5km地点でもう彼の背中は視界から消えてしまいます。
ロードで見通せる距離はおよそ400m。 計算上、序盤の5kmでこれだけ離されるということは、ゴールする頃には**「約15分」**もの大差がついていることを意味します。
私もサブスリーで走るランナーですが、それでも序盤で見えなくなる彼の実力には「格が違う」と絶望すら感じていました。 ゴール後、表彰台で祝福される彼を、私はいつも下から見上げているだけでした。
「速さ」の彼と、「土台」の私
彼と私では、練習環境もアプローチも真逆でした。
暖かい地方に住む彼は、キレのあるスピード練習を主体にしていました。 対して私は、寒さの厳しい環境(長野)もあってか、スピードよりも長くゆっくりと走る**「基礎」**に軸を置いていました。
華やかなスピード練習で結果を出す彼を見て、「自分のやり方は遠回りなのではないか?」と迷うこともありました。
逆転の時は突然に。全盛期のタイムを上回る
しかし、30代後半から変化が訪れます。あんなに遠かった背中が、徐々に近づいてきたのです。 そしていつしか、彼より先にゴールできるようになりました。
ここで特筆すべきは、相手が遅くなったから勝てたのではありません。 その時の私のタイムが、彼が最も輝いていた30代の頃のベストタイムをも上回っていたのです。
これはたった一つの事例かもしれません。 しかし私はこの経験から、マラソンにおいてスピードという「力業」だけで成長し続けることの難しさと、地味な土台作りの恐るべき効果を痛感しました。
まとめ:焦らず、力強い土台作りを
すぐに結果は出ないかもしれません。でも、継続して積み上げた「土台」は裏切りません。
スピードは加齢とともに維持が難しくなりますが、スタミナと基礎で作った「強さ」は長く武器になります。 焦らず、ゆっくり、楽しみながら。 一瞬の速さではなく、崩れない強さを一緒に作っていきましょう。
【実践編】私がやっていた「時間」のルール
主に行なっていた練習は特別なメニューではありません。週末は以下のルールで走っていました。
「距離やペースは気にせず、90分〜120分間、走り続ける」
ポイントは「時間」で区切ることです。 距離(20km走など)で設定すると、調子が悪い時に無理をしてしまったり、逆に速く走りすぎて「練習のための練習」になってしまったりします。
私の場合は、だいたい90分を少し過ぎるくらいを目安にしていました。長くても120分まで。 これなら、翌日に過度な疲労を残さずに「長く動き続けるスタミナ(毛細血管の拡張)」を効率よく鍛えられます。
「点のスピード(瞬発力)」の練習については、月に数回で1回30分くらいです。
私の場合は地味な90分間で「面の広さ(基礎体力)」を広げていたのです。 マラソンは42kmという長丁場です。切れ味鋭いナイフを持った選手ではなく、分厚い盾を持った選手なのです。
まとめ:焦らず、力強い土台作りを
すぐに結果は出ないかもしれません。でも、継続して積み上げた「土台」は裏切りません。
スピードは加齢とともに維持が難しくなりますが、スタミナと基礎で作った「強さ」は長く武器になります。 焦らず、ゆっくり、楽しみながら。
一瞬の速さではなく、崩れない強さとは…最後まで笑って走ることのできる力【底力】を磨き上げましょう。
