【距離がすべて?】トレッドミル月間300kmでもサブ3に届かない理由と、真の「走力」を磨く活用術
導入:その「300km神話」に意味はあるか?
「サブ3を達成するには、月間300kmは走らないといけない」 ランニング界に根強く残るこの基準に、14年連続でサブ3を達成してきた私は疑問を感じています。
※サブ3:フルマラソンを3時間未満で完走すること。
結論から言えば、目的のない「300kmという数字の消化」は、サブ3への近道ではありません。距離はあくまで質の高い練習を積み重ねた「結果」として付いてくるものだからです。今回は、その典型例である「トレッドミルでの300km」を切り口に、距離と質の真実を解説します。
第1章:トレッドミルでの「距離稼ぎ」がサブ3に直結しない3つの理由
ジムのトレッドミルでキロ6分ペースで毎日1時間走れば、月間300kmは達成できます。しかし、これでは本番でキロ4分15秒を維持する力は身につきません。
※キロ○分:1kmあたりの走行ペース。
1. 「地面を蹴る力」の欠如
動くベルトの上では、極端な話、真上に跳ねているだけでも走れてしまいます。自らの力で地面を後ろに蹴り、推進力を生み出す「腓腹筋(ふくらはぎ)」への刺激が不足するため、ロードで必要なスピードが維持できなくなります。
※腓腹筋:ふくらはぎの筋肉。推進力を生む要。
2. 「着地衝撃」への耐性不足
マシンのベルトは衝撃を吸収するよう設計されており、脚に優しい反面、ロードの硬いアスファルトを42km叩き続ける「強靭な脚」は作れません。着地衝撃に耐える筋肉は、実走でこそ鍛えられます。
3. 「環境変化」への対応力不足
空調の効いた室内では、向かい風や気温の変化に耐える「体温調節機能」や「精神的タフネス」が養われません。レース本番の不確定な要素に対応する力が必要です。
第2章:トレッドミルを「最高の武器」に変える運用法
トレッドミルは、使い方次第でロード以上の練習効果を生みます。
1. 勾配設定で「ロードの負荷」を再現する
平地での練習がメインの方でも、ボタン一つで上り坂を再現できます。特に、常に「勾配2%以上」に設定することをおすすめします。これにより、マシンの推進力に頼らず、自らのバネを使って走る感覚が養われます。
2. 強制的なスピード設定で「限界」を突破する
マシンは設定した速度で強制的に動くため、自分一人では妥協してしまう速度域での練習が可能です。ただし、無理なスピード設定は禁物です。ご自身の目標タイムに見合ったスピード設定を意識してください。
3. 「疲労抜き」と「精神訓練」の併用
衝撃が少ない特性を活かし、前日のポイント練習の疲れを残したまま走ることで、レース終盤の「苦しい場面」を擬似体験できます。この「疲れの中で足を動かす」経験は、本番の大きな武器になります。
※ポイント練習:負荷の高いメインの練習。
第3章:それでも「毎日走る人」を私が賞賛する理由
練習の「質」については厳しく述べましたが、毎日トレッドミルに乗り続ける方の「継続力」には敬意を表します。 多忙な生活の中で時間を捻出する「時間管理能力」と、目標に向かう「確かな意志」。それさえあれば、あとは練習の中身を少し変えるだけで、サブ3の壁は必ず突破できます。
まとめ:数字の満足感を捨て、中身を問い直そう
「300km走った」という数字の満足感で終わらせてはいけません。 実業団選手であっても、一日の最大距離を制限し、その一歩一歩の質にこだわっています。
「今日の練習で、どこが強くなったか?」
常にそう自問自答してみてください。数字に縛られるのをやめた時、あなたの走力は本当の意味で進化し始めます。まずは毎日走り続けられる距離から、一歩ずつ質を高めていきましょう。
【用語解説】
- サブ3:フルマラソンを3時間未満で完走すること。
- 腓腹筋:ふくらはぎの筋肉。推進力を生む要。
- ポイント練習:負荷の高いメインの練習。
- キロ○分:1kmあたりの走行ペース。
