走行距離にこだわった「距離かせぎ」の練習は効果的ではない
アテネオリンピック・金メダリストの野口みずき選手が、「走った距離は裏切らない」という言葉を信条としていることは有名ですが、これは、ただやみくもに走行距離を増しさえすればいいと言っている訳ではありません。
しかし市民ランナーの間には、「走行距離神話」というものがあり、痩躯距離を増やしさえすれば速く走れるようになると信じ、実践している人が少なくありません。
そのため、月間走行距離(1ヶ月間の走った距離の合計)の数字を増やすことばかりが課題となり、ペースやトレーニング内容を無視して走り続けてしまいがちです。よくみられるパターンとしては、1kmでも余計に走るために、疲労を無視して休養日もとらずに連日走ったり、一定の時間内に少しでも距離を伸ばそうとして無理に速いペースで走ったり。
このような練習ばかりを繰り返していては、日々の疲労が積み重なり、トレーニング効率は落ちるばかりで、走行距離がいくら増えても、思うような成果が得られません。
遡行距離を増やせば速くなるとは限らない。
計画的で効果的なトレニング方法を考えること!
走行距離は「伸びるもの」であって「伸ばすもの」ではない
同じ走行距離を走るにしても、内容重視7日、距離かせぎなのかでは、その効果が全く違ってきます。
そもそも、マラソンのトレーニングは、「スタミナをつける」「スピードをアップさせる」など、強化したいことによって、その内容は異なります。例えば、じっくりと走り込むことが必要な時期もれば短い距離を速く走るとレーンングが必要な時期もあるでしょう。
走行距離にばかりにこだわらず、自分の実力や身体のコンディションと対話しながら、その時々に必要なものを口に合わせて取り組むことが大切です。もちろんそこには、回復のための「つなぎの練習」も含まれます。
このように、いかに距離をかせぐかではなく、適正な距離を、適正なペースで走る練習ができていれば、結果として、走行距離は伸びてくるはずです。
「適正な距離」「適正なペース」ってどれくらい?
「適正な距離」「適正なペース」とは、トレーニングの段階や個々のレベル、トレーニング方法によって変化します。例えば、【ロング走の20km】と【レースペース走の20km】では、走行距離の観点から考えると、同じ20km走るトレーニングになりますが、実際には、ペース設定によってトレーニングの目的も効果も異なります。いまの自分に何が効率の良いトレーニングかを視点に距離とペースを考えましょう。