サブ3

坂道インターバル

スピード練習のつなぎとして行い、脚筋力を高める

LSD、ロング走、ミドルペース走などの比較的低速なペースの走り込みに続いて、ここからは次第に速いペースに対応できる機能を高めていきます。そこで、スピード練習の登場となるわけですが、その前の段階として取り組んでほしいのが坂道インターバルです。特に、スピード練習が苦手な人や中級者レベルの人におすすめです。
坂道インターバルは、心肺への刺激もある程度強いトレーニングですが、それ以上に脚に負荷をかけて脚筋力(特に筋持久力)を高める、というねらいがあります。脚筋力はランニングスピードの土台になるもので、トレーニングが進行するにつれ、
「距離を踏むのに必要な脚筋力」⇨「レースのスピードに必要な脚筋力」と、段階的に養成する必要があります。
一般に、この過程をカットしてしまう人が非常に多く、そのことで充分なトレーニング効果を得られなかったり、故障につながることも少なからずあります。
このトレーニングはプレ仕上げの期のなかで3~4回、取り入れるものですが、きちんと取り組むことで効果も大きいトレーニングです。

1本あたりを追い込むのではなく、ジワジワ脚にくる感じで

疾走と緩走とを繰り返す練習になります。疾走で坂道を登って、jogでゆっくり下ってくる、という形が基本です。
疾走時は、意識的にストライドを広げ、大きな走りで脚に負荷をかけることを意識します。とにかく終盤、脚にきて、重くなってくるような感じになるのが目安です。1本あたりのりを全力で走って追い込んでいくのではなく、何本も繰り返し、ジワジワ脚にくる感じが理想です。
距離や本数に厳密な設定は必要ありません。中・上級者の場合、疾走距離が3~8㎞くらいになるように、本数を設定してください。1本あたり100m~1,000mくらいの長さで、走りが大きく崩れない傾斜であれば、どんな坂でも構いません。1本ごとのタイムをきちんととっておくと、強度コントロールの指標になります。

進め方とステップアップ例

進め方
①プレ仕上げ期の中3~4回、多くても6回位のトレーニングとする
②基本は一週間に1回実施。最初は週2回でもよい
③まず、本数を重視、その後、追い込み度を重視
④距離が長ければ本数を減らすなど、加減する

ステップアップ例

追い込み度 本数
●弱 ●少
●弱 ●中
●弱 ●多
●中 ●少
●中 ●中
●強 ●少

※追い込み度とは、「キツさ」の度合い。ほぼ、疾走速度(スピード)に比例するはず。レベルによって異なるので、始めて行うときは、自分なりに、キツさを3段階くらいに別けて走ってみます。弱・中・強で差をつけられればOKです。ちなみに「強」はほぼ全力で、激しく息がきれるくらいの強度です。

どんな坂道を選べばいいのか?
そうそう自宅近くに理想的な坂がある訳ではありません。そのため、このトレーニングでは、フォームを崩さずに駆け上がることができる程度の傾斜ならどこでも良いので、そこにある坂を利用する形になります。また、坂道を選ぶときは、周りの交通状況を十分に注意してください。
交通量が多かったり、坂の途中に交差点があったりする場所は避けましょう。この点を注意して練習箇所を決めましょう。

練習のポイント

ポイント①
●坂道を疾走で駆け上がり、jogでゆっくり下りることを繰り返す。
ポイント②
●意識的にストライドを広げ、大きな走りで脚に負荷をかける。
ポイント③
●追い込み度と本数で強度をコントロールする。
ポイント④
●1本あたりのペースは最初から最後までほぼイーブンで通す。終盤に失速しないように加減する。
ポイント⑤
●本数を大幅に減少させないと消化できない場合は、1本あたりの追い込み度が強すぎる。
ポイント⑥
●あと、1~2本は十分にできそうな程度の余裕を残して練習を終えること。

◎スピード練習へのつなぎとして取り組むトレーニング。
◎坂道を利用して脚に負荷をかけ、脚筋力を高める。