サブ3

レースペース走

身体をレースモードに仕上げるトレーニングの最終段階

レースペース走は、仕上げ期や調整器などマラソン・トレーニングの最終段階に行い、いままで別々に養ってきた『スタミナ』『脚筋力』『スピード』『スピード持久力』をシンクロさせ、レースペースに適応させていくことが目的です。より経済的に、スムーズに設定ペースで走り通す能力を高めます。
レースペースに適応することが重要ならば、トレーニングの初期段階からレースペースで走り、15㎞・20㎞・25㎞と持続できる距離を伸ばしていけば良いのでは考えられる方もおいでかと思います。
これは、ハーフマラソンのタイムの割にフルマラソンのタイムが出ない、タイプのランナーに多いトレーニング方法です。
しかし、身体の機能は、これだけの総合力を一度に高めるような取り組みにはなかなか対応できません。十分に距離を踏み、良質なスタミナを作り上げたうえでないと、レースペースには適応するための準備はできてこないのです。
ここではフルマラソンに特化したトレーニングになっております。
したがって同じ長距離でもハーフマラソンやそれよりも短いレースに参加されても、それほどの順位は出せません。スタミナやスピード持久力に特化したトレーニングになっておりますので、最高スピードの高さがものをいうレースとは相性が悪いのです。その代わり、フルマラソンではレース終盤に特に力が発揮されることになります。最後まで落ちないスピード、これをこの練習法で目指しています。

レースペース後に検討を行い、目標タイムの修正を行う

重要なのはペース設定であり、頭で考えた目標タイムとペースが、ここまで作り上げていた身体の諸機能とマッチしてるかどうか、が大切な点となります。レース本番では、調整の出来具合などから、練習異常に速いペースでも、十分な余裕を持って走り続けられることがあります。
しかし、そのことを当てにし過ぎて、目標レースペースを高く設定してしまうのと良い結果を得られません。ペースの維持や余裕ど次第では、目標の下方修正も必要です。もちろんかなり状態が良ければ上方修正も可能です。
レースペース走は、あまり長い距離で頻繁に行うと、レース同様の負荷がかかり、疲労が積み重なります。15㎞程度の距離走や、5㎞×2〜3本といったようなインターバル形式で行うと良いでしょう。ハーフや30㎞などのレースで代用することもできますが、この場合、レース後の疲労処理が問題となります。

進め方とペースの設定方法

進め方
①レースペースで15㎞走を週に1回実施する
②仕上げ期から2週間の場合は5㎞走を週に2回実施する
③仕上げ期に3回行えるように調整する
レースペースの設定方法
①15㎞を走れるペースに1㎞あたり5秒くらいプラスマイナスしたペースで行う
※自分は練習通りの走りがレースでもできるタイプかそうでないタイプかという点で、多少タイムを加減する。
②10㎞やハーフのレースタイムから推算する
※ただしこれは推算の域を出ないので、タイムの【幅】に留意する。計算方法は以下に示します。

レースペースを推算する

レースペースは、10㎞やハーフのレースタイムに、一定の係数を掛けることで算出します。推算式は3通り。自分のレースタイムを当てはめて計算してみてください。
この係数は、走り込みがしっかりとできていて、レースの後半から終盤にかけての失速傾向が小さいスタミナ型のランナーほど小さくなります。
もし、自分のタイムがわからない、多分普通くらいと思う方は、①ならば4.6、②ならば、2.09で計算して見ることをお薦めします。
あるいは過去のタイムから、自分の係数を算出することもできます。フルのタムを、10㎞もしくはハーフのタイムで割ってみましょう。
推算式①=10㎞のタイム×4.6〜4.8
推算式②=ハーフのタイム×2.07〜2.2
推算式③=(ハーフのタイム+5〜10分)×2

練習のポイント

ポイント①
●レースペースがわからない場合は、仮で設定したペースで行い、出来具合で調整する。
ポイント②
●レースペース層はミドルペース走の発展系。ミドルよりは速く走るべきだが、スピード練習ではないことに注意!
ポイント③
●途中でペースダウンしてしまうのは、設定ペースが速過ぎるからです!
ポイント④
●無理なペースを設定し、激しくても追い込む形で実施しても意味はない。あくまでも余裕度を重視します。

◎スタミナ、脚筋力、スピードを同期させてレースペースに身体を適応させる。
◎どんなペースよりもこのペースが1番快調だと思える感触を得ることが目的。