180分LSDの反復を目指す
ゆっくり走るLSDで基礎的な持久力を養う
いよいよ走り込み期(本格的なトレーニング)開始です。
まずは、ゆっくりとどこまでも走っていける基礎的な持久力を養成するLSDにじっくりと取り組みます。
可能な限りゆっくりペースで90分を走ることから開始し、180分程度まで時間を伸ばしていきます。
毎週無理なく反復できるようになることが目標です。
STEP1 ゆっくり長く走るLSDに慣れる
ゆっくり長く走るLSDをlong jogで到達した90分から始めて、120分まで伸ばしていきます。
無理を感じないところで何度も繰り返し行い、少しづつ時間を伸ばしていくことで持久力を向上させます。
そのためには、jogのペースの中で最低限のできるだけゆっくりのペースで行います。
これには個人差があり、1㎞あたり6~8分と幅があるので他人との比較で決めるのではなく、自分の感覚を目安にしましょう。
また、LSDは技術練習でもあります。
ゆっくり走ることのできないランナーは、速く走ることもできません。
走る筋力は遅い速度からの走り込みによる積み重ねで段々と強度を増していきます。
徐々に小さい筋力から付けていくことで、怪我の予防にも繋がります。
ゆっくり走れるということは、走りのバランスが良く効率も良い、すなわちスピードも出せるということなのです。
※なんとか我慢して走りきれる、というのではなく、あくまでも余裕を持って走れる時間を伸ばしていく。
とてつもなく長い時間のLSDを1回だけ頑張ったとしても、達成感はありますが、自己満足に過ぎず、実力の底上げは難しいでしょう。
ゆっくり走ることは難しい!
初心者・初級者 筋力が足りない ⇨ ゆっくりしか走れない
中級者 フルマラソン 3時間30分~4時間 ⇨ ゆっくり走ることが一番難しい
上級者 テクニックや筋力がある ⇨ ゆっくりと走ることができる
STEP1 ゆっくり長く走るLSDに慣れる メニュー
実践
- 2回のポイント練習+3回のつなぎの練習+2回の休養で週のメニューを組み立てます。
- ここでのポイント練習はLSDとlong jog、つなぎの練習はjogです。
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
練習 | つなぎ | つなぎ | つなぎ | ポイント | ポイント | ||
メニュー | 休養 | jog | jog | 休養 | jog | LSD | long jog |
時間(分) | 30~ 40分 |
30~ 60分 |
30~ 40分 |
90~ 120分 |
60~ 90分 |
※無理のない範囲でLSDを1本追加
余裕のある人は、土曜日のLSDとは別の日にもう一本LSDのを入れてみましょう。
その際は、90分くらいのLSDが適当です。
何度も繰り返すことでスタミナや時間に対する精神的な体制が身についていきます。
歩くより遅いペースでも大丈夫!
long jogはゆっくり、LSDは更にゆっくり。
こんなゆっくりぺーすの練習ばかりで大丈夫だろうか?と思われるかもしれませんが、
マラソンのスタミナをつける最も効率的な基礎練習はゆっくり長く走ることです。
『いつも忙しくて短い時間しか練習できないから、無理してペースを上げている』というのでは、なかなかスタミナの向上は見込めません。
また、 長期計画だからこそ、最初の段階はこういった基礎固めをしてください。
LSDやjogは実施後の疲労感は、速めのペースで走った後よりも小さいですが、これは疲労を感じるための練習ではありません。
1~2周間jogやLSDを実施すれると、同じ速度で走っても感じる疲労が格段に減ります。
焦ることなく、少しづつ歩みを進めていきましょう。
メニュー アレンジ
- LSDを行った翌日にlong jogを行うと疲れが取れる人もいれば、逆のほうがLSDをスムーズ
に行えるという人など、個人差があることですので、土日の入れ替えはやりやすい方でOK - ポイント練習を行う日以外で普段より少しでも時間の取れる日があれば、つなぎの練習の
代わりに短めのLSD(90分程度)をもう一日追加してみる。
ステップアップの判断
120分LSDが気持ちよく走れる
120分のLSDが気持ちよく楽に走れるようになったら次のSTEPに進みましょう。
もし、120分のLSDにまだ余裕が持てない場合はこのステップをもう少し継続します。
LSDが十分にできていない段階で先走っても、肝心な土台となる基礎がまだ不十分で、レースでも思ったように走れません。
自分のトレーニング状況、練習時の体感を意識して、焦らずにトレーニングを続けてください。
LSDで120分をゆとりを持って走れる
STEP2 120分以上のLSDを反復する
STEP2では120分以上のLSDを反復することで、基礎的な持続力を付けていきます。
週1回、120分以上のLSDを確実に行うことをメインに考えましょう。
翌日のポイント練習のlong jogは、ときに休養したり、少なめにしたりすることで調整しても構いません。
ただ、充分な休養をとっても疲れが取れない場合は、LSDの負荷が高すぎる(ペースが速すぎる)ことも考えられます。
刺激が効く!ウィンドスプリント!!!
ウィンドスプリントを2~3本をjogやLSDの後に入れてみましょう。
弱めの負荷ばかりのトレーニングに刺激を与え、疲労回復にも効果があります。
速く走ると気持ちもアガりますので、オススメです。
STEP2 120分以上のLSDを反復する メニュー
実践
- 2回のポイント練習+3回のつなぎの練習+2回の休養で1週間のメニューを組み立てました。
- ここでのポイント練習はLSDとlong jog・つなぎの練習はjogです。
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
練習 | つなぎ | つなぎ | つなぎ | ポイント | ポイント | ||
メニュー | 休養 | jog | jog | 休養 | jog | LSD | long jog |
時間(分) | 30~ 40分 |
60分 | 30~ 40分 |
120~ 150分 |
60~ 90分 |
余裕を持った走りとは…
余裕を持った走りというのは、『このままあと30分続けて』と言われたときに
『OK』と、即答できるような心身ともに余裕がある状態の走りを指します。
ウィンドスプリントは意識してストライドを大きくする
LSDやjogの後にウィンドスプリントを取り入れてみます。
ウィンドスプリントとは、100m前後の距離を、全力の6~7割程度のスピードで走ること。
短い距離になると、つい全力で頑張ってしまいがちですが、
『気持ちよく・リズミカル』にがポイントです。
ストライドを意識的に拡げて走りましょう。
メニューのアレンジ
- 土日の集中メニューで翌週まで疲労が抜けない人は、LSDの翌日を休養にしてもOKです。
ただし、LSDは週に1回を目安に行うこと。
- 余力がある場合は、『つなぎの練習で60分jog』⇨『短めのLSD(90分程度)』に変更してみましょう。
ステップアップの判断
無理なく120分以上のLSDが反復できるようになる
120分以上のLSDが余裕を持って反復できるようになったら、次のSTEPにあがりましょう。
初心者でも、無理がないとかんじたら、どんどんとステップアップさせてください。
また、中・上級者の場合はSTEP3をとばして、stage3『走り込み期』に取り掛かってみましょう。
STEP3 180分以上まで時間を伸ばす(最長210分)
まだ余裕がある場合は、さらに時間を伸ばします。
次のステージにあるロング走では30~40㎞走がトレーニングに組み込まれてきます。
そのためにも、LSDで2時間しか走れないようでは少々に厳しいです。
ここまでは、ゆっくりと走ることに取り組んできました。
これからもこのLSDは継続していきますが、余裕を持ってこなせるようになってきたら、少し速度を上げて『快調走』にも取り組んでいきましょう。
- 更に上のレベルにチャレンジ!
120分のLSD よりも 上のLSDを狙っていくと
150~180分のLSD 違う世界が見えてくる…はず?
フルマラソンで記録を伸ばすためには180分のLSDは必要不可欠です。
初めは3時間は走らないと、フルマラソンのゴールには辿り着くには難しいでしょう。
STEP3 180分以上まで時間を伸ばす(最長210分)メニュー
実践
- 3回のポイント練習+2回のつなぎの練習+2回の休養で1週間のメニューを組み立てました。
- ここでのポイント練習はLSDとlong jogと快調走・つなぎの練習はjogです。
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
練習 | つなぎ | ポイント | つなぎ | ポイント | ポイント | ||
メニュー | 休養 | jog | 快調走 | 休養 | jog | LSD | long jog |
時間(分) | 30~ 40分 |
8~10㎞ | 30~ 40分 |
150~ 180分 |
90分 |
速くても余裕のある快調走を
快調走とは、読んだ通り、気持ちのよい走り。快調なペースで走るトレーニングです。
long jogより1㎞あたり30秒程度ペースアップを意識してみましょう。
そして、この快調走も、ペースを上げることよりは距離を伸ばしていくことを優先させます。
速度をある上げていくと段々と気分が良くなることがありますが、無理に速度を遅くしないで走ることであって、速度を上げることに重点を置かないように気をつけてください。
3時間半程度を目指す中・上級者は、自分のマラソンタイムくらいはLSDで走れるようになっておきましょう。この長時間LSDをこなすことで、記録の大幅アップが望めます。
レースに参加する場合
この時期にレースに参加を考えてる場合は『走り込みの一環として』出場しましょう。
”ハーフマラソン”を頑張らずに”LSD”として利用したり、10㎞レースを快調走の代わりとして走るというような意識が大切です。
レースでスピードを出して強い刺激を与えてはいけません。
現段階では走り込み期に入る前段階です。
100%で取り組むことは避けましょう。
メニューアレンジ
- 週末しか充分な時間が取れない場合には、ポイント練習はLSDと快調走の2種類を行う。
- 2日連続で疲労が大きくなる場合は、まずLSDを優先する。
- 8~10㎞の快調走の時間が取れない場合は、30~40分のjogの代わりにペースアップした快調層を取り入れてみましょう。
ステージアップ 判断
180分のLSDが楽に反復できる
180分のLSDが余裕を持って反復していけるようになったら、次の走り込み期に進みましょう。
150分のLSDは余裕でこなせるものの、180分以上はまだきつい、という状態では、次のステージから行う20㎞以上を走り続けるロング走はうまくこなせません。
180分のLSDが楽にこなせるようであれば、フルマラソンで4時間は切れてくることでしょう。
それくらい厳しい関門なのですぐにはこなせないかもしれませんが、ゆっくりと着実に実力をつけていきましょう。