最終目標 スピード刺激を与えてレースペースに慣れる
獲得目標 スタミナ、筋力、スピードの統合
いままでの長い時間をかけて培ってきたスタミナ、筋力、スピードを統合させる形で、実際のレースペースで走るレースペース走に取り組みます。さらにスピード持久力を向上させるために、スピード刺激となるインターバル・トレーニング(インターバル)も取り入れていきます。
STEP 1 レースペースに適応する
走り込み練習がマラソントレーニングのすべてと信じているランナーは少なくないと思います。
しかし、このプログラムの最初に示したように、走り込みを終えてからレース本番までには、長い時間をかけて培ってきた様々な機能や力を統合させ、レースモードに対応した身体へと仕上げていきます。
これがstage5の仕上げ期の目的になります。
レースの距離に対しては走り込み練習でしっかりと取り組んで来ています。
しかし、走り込み自体は比較的ゆっくりの速度でスタミナアップのみをはかることが目的なので、ここまで目標のレースペースで最後まで押し切る力は不十分です。
そこで、目標のレースペースに対応させていくトレーニングとして取り組むのが、レースペース走です。
ある一定のペースを何度も走ることで、そのペースにおけるランニング効果、経済性を上げていきます。
※レースモードとは:『レースのペースでレースの距離を走る状態』のことを指し、トレーニングの最終目標はこれにあります。
STEP1 レースペースに適応する メニュー編
実践
- 『3回のポイント練習 + 2回のつなぎの練習 +2回の休養』で一週間のメニューを組み立てます。
- ここでの『ポイント練習』はレースペース走とロング走とLSD、『つなぎの練習』はjogです。
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
練習 | つなぎ | ポイント | つなぎ | ポイント | ポイント | ||
メニュー | 休養 | jog | レースペース走 | 休養 | jog | ロング走 | LSD |
時間(分) | 60分 | ※ | 60分 | 30km | 120分 |
※レースペース走の取り組み方法
トータの距離が10~15㎞程度になるように、1本で、もしくは何本かに分割して、無理のないように取り組みます。
これ以上の距離は必要ありません。レースペースでレース距離を走ってしまっては、まさにレースと同じ負荷をかけてしまうことになります。
そうなると、大きなダメージが残り、本番では結果が期待薄になってしまうかもしれません。
週1回程度実施 実施例
10~15㎞✕1本
5㎞✕2~3本
2㎞✕5本
1㎞✕10本
ロング走は継続しますが、距離は30㎞までとし、その分、ペース水準は少しづつ引き上げていきます。
レースペースよりも1㎞あたり10~20秒遅いくらいが目安です。
LSDも継続しますが、こちらも少し控えめとします。
重要なポイント練習ではなくなるので、つなぎ的な意味合いで取り組むようにしてください。
メニューアレンジ
- 週末のLSDの代わりにレース勘を養う意味でも10㎞やハーフマラソンを、スピード刺激として代用しても良い。
その際は、レースペースよりも1㎞あたり10秒くらい速いペースで行っても良い。 - 基本的に休養日を2日としているが、疲労を感じることがあったらつなぎのjogを控え、積極的休養に当てても良い。
ステップアップ 判断
一定の強度でレースペース走ができる
闇雲に距離だけを消化するのではなく、多少設定ペースを落としても、一定の強度で持続するレースペース走ができるようになったら、次にステップアップしてください。
次のSTEP2は選択制です。
取り組んでもいいですし、省略して次のステージの『調整期』に進んでもよいです。
インターバルトレーニングなどのスピード練習の好きな人や脚にキレがなくて不安な人、脚にもう少し刺激を与えたい人などは次のSTEPに取り組んでください。
ペースダウンなく一定の速度で…レースペースをKeep!
STEP 2 インターバルトレーニングで刺激を与える
レースペース走に取り組んでみて、どうしても動きが悪い、思った以上に余裕がないという場合には、インターバルやレース参加などのスピード刺激で対応してみるのも試してみましょう。
インターバルとは、ある程度のペースで距離・本数をこなしていくトレーニングです。
多くの人がイメージするような、全力に近い形で行い、苦しいだけのものとはかなり異なります。
速いペースで走ることが必ずしもプラスになるとは言い切れません。レースペースに対してあまりにも速すぎる・強すぎるものがあっては効果がかえって薄くなってしまいます。
せいぜいレースペースよりも1㎞あたり10~20秒早い程度だと考えてください。
また、この時期のレース出場も、同じようにスピード刺激を与える意味を持たせることができます。
インターバル・トレーニングのバリエーション
1,000m✕5本(基準)
200m✕20本(スピード刺激)
5,000m✕2本(スピード持久力を高める)
スピードダウンしたり、間のjogが遅くなったり、十分な本数をこなせないようであれば、ペースを少し抑えます。
STEP 2 インターバルトレーニングで刺激を与える
メニュー編
実践
- 『3回のポイント練習+2回のつなぎの練習+2回の休養』で1週間のメニューを組みます。
- 『ポイント練習』はレースペース走とロング走とインターバル・トレーニング、
『つなぎの練習は』はjogです。
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
練習 | つなぎ | ポイント | つなぎ | ポイント | ポイント | ||
メニュー | 休養 | jog | レースペース走 | 休養 | jog | ロング走 | インターバル・トレーニング |
時間(分) | 60分 | 60分 |
ロング走の取り組みは最終局面です。
20~30㎞で、レースペースよりも1㎞あたり10~20秒くらい遅いところまでペースアップして追い込めれば理想的です。
距離は短縮方向へ移行。
5㎞減らすだけでも、疲労の抜け具合が大きく変わってきます。
インターバルトレーニングの取り組み方法
基本は1,000m✕5本(200mのjogでつなぐ)
これを、レースペースよりも10~20秒速い速度くらいで。
あまりに速すぎるペース設定では、刺激が強すぎてしまい、疲労を残してしまい、効果が薄れてしまう場合があります。
速度をもっと上げたい場合は、ラストの100~200mだけ上げます。
その距離だけでも、タイムは5秒前後なら縮めることも可能ですし、疲労もさして残ることはありません。
スピード刺激の効果を感じない場合
通常、スピード刺激(インターバル・トレーニング)やレースペース刺激(5~10㎞走)を入れると、次回のレースペース走やロング走で余裕度が高くなります。
それを感じないとすると
- スピードレベルが高すぎて、適切な負荷の刺激になっていない。
- 疲労がたまりすぎていて、調子を落としている。
のいずれかが考えられます。
この場合は、練習量を増やすことよりも、練習を休むことによって身体の疲労を取り除きましょう。
仕上げ期では、練習を休む方向で加減してください。
メニューアレンジ
- インターバルトレーニングの代わりに坂道インターバルを、本数を極端に減らし、追い込み度を上げる方法で活用してもOK
- 週末、10㎞レースなどに参加して、レースペース走やインターバル・トレーニングの代としても良い。
- 練習量は減少傾向へシフトし、疲労回復も同時に進めていく段階なので、過剰な負荷がかからないように注意する。
- ロング走の距離を短くしても、jogの量は増やさない。
ステップアップ 判断
レース本番の最低一週間前
疲労が低く、トレーニングが順調に進んでいれば、レース2周間前には調整期に移行しましょう。
これまでとは違い、レースの時期に合わせて次のステージへ移行します。
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